散歩道<3994>

                         経済気象台(625)日本の弱点                       

 韓国が好調だ。経済は今年も来年も5%前後で成長する。リーマン・ショックから瞬く間に立ち直り、以前の拡大路線に復帰した。今日の世界経済は決して明るくない。その中で、輸出立国の韓国が元気に景気拡大を続けている。理由はいくつもあるがその一つは、韓国の人々の自信と楽観であろう。
 韓国は今年G20の議長となり、すでに財務相・中央銀行総裁会議を成功させた。再来年には核安全保障サミットを開催する。経済だけでなく外交・国際政治の面でも存在感が高まっている。そうした中で、当局者だけでなく、ビジネスマンたちも自信と楽観を深めている。心配事もたくさんあるはずだが、悲観や国内での足の引っ張り合いは少ない。日本の1970年代を見る思いである。
 景気の「気」は天気の「気」と同じで、「不思議な力」という意味だという。その時々の国民の気分は経済に大きな影響を及ぼす。消費や設備投資が増えるも減るも、一人ひとり、一社一社が将来をどう見るかで決まる。今の米国は悲観が広がって経済が推進力を失っている。人々を奮い立たせるのは政治家の仕事だが、成功していない。代わってFRBが金融緩和で安心感の醸成を図っている。いま長期金利を多少下げても、家計は借り入れや支出を増やさないし、設備投資も伸びてこない。それをFRBは百も承知だろう。米国の回復は国民心理のコントロールにかかってきているのである。
 悲観論を「賢い見方」と考えがちな日本は、こういう場面に弱い。ダメかも知れぬと思えば三振する。慎重に考え抜かれた経済対策とともに、国民の気分を上向かせる政治家の言動が、死活的に重要だ。

'10.11.3.朝日新聞

関連記事<検>経済気象台、<検>社説、