散歩道<3993>
経済気象台(624)・消費者金融市場のあり方
先日消費者金融大手の武富士が会社更生法を申請した。過払い金返還の負担の大きさに耐えかねて破綻したようである。2006年1月の最高裁判決により、出資法の上限金利29.2%利息制限法の上限金利20%の間のいわゆるグレーゾーン金利について、過払い金の返還が認められたことから、過払い金返還請求が急増している。弁護士事務所がテレビで返還金請求を宣伝までしている。
加えて、今年6月に改正貸金業法が全面施行され、借入金利の上限が利息制限法に一本化(10万円未満は20%、10万円以上は18%、100万円以上は15%)され、借り入れ金額が年収の3分の1までとなった。
確かに多重債務者の増加などが社会問題化したわけであるから、政府として何らかの対応策を迫られていたのは事実である。しかし、本来市場で決るべき金利や金額を直接規制し、消費者金融市場を縮小整理する方向が正しい解決策なのであろうか。
法律的観点から考えると多重債務者の問題も暴力的回収の事例も減り、効果が上がると思われるかもしれない。しかし、経済的観点からは、借り入れ需要があつた人たちの事情が変わったわけではなく、供給ルートだけが断たれたのであるから、本当に問題が解消し、消費者金融市場が望ましい機能を発揮するようになったといえるだろうか。
銀行の無担保消費ローンがなぜ伸びないのかという事も含めて消費者金融市場の需要(借り手)、供給(貸手)双方の事情を調査分析して、市場のあり方を再度検討する必要があろう。かって30兆円を超える規模を誇った消費者金融市場の果たしていた機能を冷静に考えてみるべきだ。
'10.10.29.朝日新聞
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