散歩道<3977>
 
                       横浜APECを前に・「開国」を問う・《 4 》               
                         経済外交は官民連携で(2)                   (1)〜(2)続

・・・・日本も本格的な経済外交に乗り出すべきだと。
 「まず発想の転換が必要です。1980年代以降、日米貿易摩擦をきっかけに、日本人は二つのことを刷り込まれた。一つは、対米黒字を縮小するため、内需中心の経済構造に転換するべきであるという考え方だ。しかし、85年のプラズ合意で円高誘導しても貿易不均衡は是正されず、今度は、官民の不透明な癒着こそが、日本史上閉鎖性を生んでいるという二つ目の刷り込みが生まれた」
 「その結果何が起きたのか。携帯電話の『ガラパゴス化』
*1のように、日本市場でしか通用しないところに技術革新が向ってしまった。少子高齢化で国内市場が縮小するなか、世界標準からどんどん取り残され、日本の衰退に拍車をかけている。成長センターであるアジア全体を一つの経済圏ととらえなければ、日本の成長戦略など描けるわけがない。また、官の方も、各国政府や市場の動きをビビッドに知らなければ、打つ手を間違える。官民の有機的な連携こそが必要なのだ」
・・・・昨年末、アラブ首長国連邦(UAE)の原発プロジェクトの入札で、日本勢は韓国に負けました。
 「こちらには高い技術があるのだから、ライバルは韓国ではないと思っていたら、李明博
(イミョンバク)大統領が出てきて、60年間の運転保証をした。韓国が提案した原発は運転実績もなく、60年間も保証できるはずはないのに政治決断した。これは民間ではとれないリスクだ。そうした反省から、先月末に日越首脳会談で合意したベトナム原発の受注では、5月の連休中に仙谷さんや前原誠司国土交通相(当時)がベトナムを訪問するなど、官民一体でセールスし、成果に結びついた第一号といえる」
・・・・経済外交を進めるうえで、何に留意していますか。
 「安全保障政策とのかかわりだ。中国の台頭で、東アジアのパワーバランスは大きく変わろうとしている。レアアース(希土類)は、中国の外交取引の材料に使われた。先日、ベトナムの原発担当の副首相と会ったが、彼らは南シナ海での中国の拡張主義的行動にどう対応するか、戦略的な感覚を持っている日本も個別の経済案件を超えた思考が求められる。

 '10.11.6.朝日新聞内閣官房参与・前田 匡史氏

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