散歩道<3971>

                       横浜APECを前に・「開国」を問う・《 3 》               
                         高い関税 消費者にツケ(2)                   (1)〜(2)続く

 ・・・農業保護の方法は関税ではなく、農業への直接的な支払いであるべきだと。
 「米国や欧州連合(EU)も農業を保護している。問題は保護すること自体ではなく、どういう手段で保護するかなのだ。日本は海外の農産物に高い関税をかけることで国内の価格が下がらないようにし、農家の所得を維持しようとしてきた。農業保護のコストを負担しているのは、割高な農産物を買わされている消費者なのです。米国とEUはは価格維持策を中心としていた政策を、農家に直接お金を支払う方式に切り替えた」
 「価格が下がると困るのは農家よりも農協だ。手数料が減ってしまうから。競争力のない兼業農家がやめ、組合員の減少で政治力も落ちる。農協を怒らせるとこわいと、政治家は思うわけです」
・・・・民主党政権は今年度からコメ農家を対象とした「戸別所得補償制度」を始めました。直接支払いへの切り替えの第一歩ではないですか。
 「本来はそうなるはずだった。だが、減反に参加しさえすれば小規模でコスト高の兼業農家も補償対象にとする『バラマキ政策』に変質してしまった。農業以外の収入が多くサラリーマンより豊かな兼業農家の所得を補償するのは、いくらなんでもおかしい」
・・・山下さんの考える農政改革案は。
 「自由貿易と、日本の農業の将来を担う専業農家に対象をしぼった直接支払いのセットだ。関税をゼロにすれば価格は下がり、米価維持のために行っている減反も意味がなくなる。国産米は1俵(60`)あたり9500円程度に下がるだろうが、輸出で稼げるようになる。減反廃止で環境維持など水田のもつ多面的機能も保てる。農地をしっかり守っていれば、平時には農産物を輸出する一方、食糧危機で輸入が難しくなった時は国内向けに生産することもでき、食料安全保障上の備えになる」

'10.11.5.朝日新聞・キヤノングローバル研究所主幹・山下 一仁氏

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