散歩道<3964>
天声人語 ('10.11.4.)・米民主党大敗
セオドア・ソレンセン氏の名は知らなくても、ケネディ大統領の就任演説にあった「松明は新しい世代に引き継がれた」の名文句をご記憶の方はおられよう。大統領の*2名スピーチライターとして知られた氏の訃報に、この秋がケネディ当選から50年になるのを思い出した。
米国では、11月は選挙の月だ。2年前に当選したオバマ大統領*1は、若き指導者のイメージがケネディに例えられた。だが昨今、「チェンジ」の松明はかげりが目立っていた。仕事への評価ともされる中間選挙での、案の定の手痛い敗北である。
「茶会選挙」として将来に記憶されよう。怒れる白人中間層らによる「茶会」という草の根保守が風を起こした。いわゆる「小さな政府」を求め、オバマ政権が取り組む医療保険の改革さえ「社会主義」と嫌う人たちだ。
富豪になるのも、野垂れ死ぬのも自分次第。政府はかまってくれるな。そう考える人々には,納めた税金が、弱者や企業の救済に使われるのは納得できない。米国の伝統的な自由は、ときに日本人の理解を超えて激しい。
「真に偉大な大統領になりたい。情けない大統領ならいくらでもいるから」とオバマ大統領は語っていた。だが最近はケネディから一転、フーバー大統領に重ねる声も聞こえてくる。大恐慌に無策で、路上生活者のかぶる新聞が「フーバー毛布」と言われるなどした人だ。後世の評価は散々である。
オバマ氏の存在感は世界で大きい。だが内政でつまずけば、核廃絶の松明も消えてしまいかねない。憂えつつ、任期の後半を注視する。2010年11月13日'10.11.4.朝日新聞
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