散歩道<3957>
世相(194) ・ オピニオン・論壇時評・あすを探る(1) (1)〜(3)続く ・・・発想を変える
多様性は人間だけのものか
生物学者になる前の私は小学生の頃からいつも家で蝶(ちょう)の幼虫を飼っていたので、むろん、そんな言葉は知らなかったものの、生物が多様性に満ちていることは自明だった。
しかし、それは単にいろいろな生き物がいるという意味ではない。アゲハチョウ*2はサンショウ、キアゲハはパセリ、ジャコウアゲハはウマノスズクサなど、特定の特定の植物しか食べない。彼等は禁欲的なまでに食を限定している。幼虫を採集する時は木や葉を見てはいけない。地面を見るのだ。そこには特別な形の糞が落ちているから。しかしまもなく糞は跡形もなく消え去る。食卓を巡って種が棲(す)み分けていること。目に見えない分解者がもくもくと仕事をしていること。つまり生物の多様性とは、ある時はせめぎ合い、ある時は相補的に連鎖しあって、動的な網の目を支えあっている、その関係性のありようである。
名古屋で、生物多様性条約第10回締約国会議(国連地球生きもの会議*6)がはじまった。
表向きの大きな課題は、人間の経済活動に伴って、加速度的に進行する絶滅生物*5、の増大数をなんとか減速させようということである。
'10.10.28.朝日新聞・青山学院大・教授・*1福岡 伸一氏
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