散歩道<3952>
オピニオン・耕論・茶会旋風(2) (1)〜(2)続く
原点回帰求める「右翼バネ」
中間選挙を前にして茶会の躍進が伝えられているが、問題は、彼等が現代の緊急諸課題に具体的な政策を提案していないことである。グローバル化した世界では、超大国でも、国民に約束した平等な豊かさを一国で保障することはできない。どの分野をとっても、必要なのは国家が内外で発揮すべき調整機能を高めることであり、政府をいたずらに小さくすることではない。
茶会は白人の中産階級の運動であり、彼らの不満は反映している。しかし、そこに本当に困窮する最下層の移民や黒人の声を聞くことはない。茶会の選挙活動を財政的に支えてきたのは、実は、小さい政府に利益を見いだす大企業などのネオリベラル的エリート層である。この仕組みを可能にしたのが、今年1月、米最高裁が5対4の表決をもって、従来の政治資金規正法を違憲とし、企業や団体が無制限に政治広告に資金を支出することを可能にした判決である。この資金力がなければ茶会の躍進もなかったろう。
茶会の隆盛は一時的なムードに乗ったものだが、大統領が取り組まねばならない問題は、彼らの挑戦を超えて、巨大である。戦後米国の過剰な石油依存や過剰な消費性向を改められるか。アフガン戦争を最終的にどう終わらせるのか。戦争の終結や核軍縮を主張しつつ、いかに軍事ケインズ主義やその結果、極端に肥大化してしまった軍産複合体を統制するのか。いずれも文明的な問いなのである。
'10.10.30.朝日新聞・東京大教授・古矢 旬さん
関連記事:散歩道<検>政治,<検>社説、