散歩道<3949>
社説・クマ大量出没(2) (1)〜(2)続く
人と動物、共生の回復を
集落近くの里山は、かっては木材やキノコ、野草を採る場所だった。手入れが行き届いていた。しかし、最近は過疎化とともに草が茂り、人と動物を隔てる緩衝地帯の役目を果たさなくなった。里山の崩壊である。植林地も間伐されず、動物たちのエサが少ない暗い森になっている。
猟師も高齢化し、減っている。猟師に追われた経験のない「新世代クマ」は人里に近づくのを怖がらない。集落を守る放し飼いの犬もいなくなった。
サル、イノシシ、シカの増加による農林業への被害も深刻だ。イノシシの捕殺は年20万〜30万頭にのぼる。
農山村が疲弊し、山が荒れ、里に動物画押し寄せる。人と動物のバランスが壊れている。都会にいては気がつかない日本の現実だ。
欧米諸国は近代に多くの動物を絶滅させてしまった。動物とすみ分けた日本の自然は私たちの財産でもある。解決策を探ろう。
まず、ボランティアである猟友会の負担を減らす。国や自冶体がより多くを担い、日頃から動物の生息状況をつかんで科学的な管理をめざす。
動物専門家の育成と地域の再生、広域対応が重要だ。野生動物レンジャーは動物管理だけでなく、里山再生の担い手にもなれる。
兵庫県は、動物生態学の専門家らを集めて森林動物研究センターをつくった。青森県下北半島*1では、むつ市など4自冶体の連絡会議が専門職3人を採用し、サルを追うモンキードッグを増やしてニホンザルの広域管理体制を整備している。期待できる試みだ。
'10.10.25.朝日新聞
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備考1:NHKの解説者の話:滋賀県湖北地区でやっているのは、クマを山に戻すのに、動物を使うのが一番いいそうだ。荒れた森の木を伐採、里山を整備し、その後に牛放牧する。クマの臭いをかぎ分ける犬を飼い、敏感に吠えるようにすれば、クマは山から人が住む里には下りてこないのだそうだ。
備考2:*1この下北半島に北限の日本サルが生息しています。