散歩道<3946>
世相(192)・オピニオン・耕論・「泥水」の経験が本質教える(1) (1)〜(2)続く ・・・・発想を変え
牛丼を380円で据え置いている吉野屋は、昨年3月から売上高の前年割れが毎月続きました。特に12月以降は前年比15%減に落ち込んだ。他社は期間限定も含めて200円台に値下げし、前年を上回る売上げを残しました。
今年のお正月、菩提寺に墓参りしたら、壁に掲げた格言が目にとまりました。「小さな苦しみは愚痴を生む、大きな苦しみは知恵を生む」
心に響きましたね。苦境を打開するのは次の一手を頭でめぐらす間は、ストレスが蓄積します。でも表面的な微調整ですむアイデアなら、それは小さなことです。問題の本質を突き詰めて、本当に根を詰めて、うなりながら考えた先に、今の状況からジャンプする発想が出てくるのです。
経営者も社員も長くやると、会社の事業について、実はファジーにしか分からないことがあります。ピンチになれば、自分に向き合い、再発見もある。表現はよくないのですが、「テンパル」とアンテナが敏感に働く、逆に、安泰だと鈍くなるので、あの格言は見逃したかもしれません。
アルバイトから吉野家の社員になったのが1972年。以来、浮沈みを経験した。出店準備で派遣された米国から呼び戻された80年の会社更生法適用は大きな苦しみでした。急激に店舗数を増やして味が落ち、破綻を招いた。顔を泥水につけられたような経験から、本当にいいもの、悪いものを見極める目が養われたと思います。
'10.10.26.朝日新聞・吉野家ホールディングス社長・安部 修二さん
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