散歩道<3941>

                       opinion・ザ・コラム・
尖閣諸島(4)                (1)〜(4)続く
                           南海の波、静める知恵を

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 尖閣問題が決着したわけではない。16日以降、東京のデモに対抗する形で、中国で大規模な反日デモが続く。尖閣は今後も双方の民族主義を燃え上がらせる火種となるだろう。ニューヨーク・タイムス紙は今月5日、「中国海軍は、民間の漁船と協議して紛争海域に進出する傾向が強まっている」と報じた。今後、漁船が巡視船に体当たりするようなケースにどう対処するのか。政府はまずその点を確かにし、中国側に強く自制を求めるべきだろう。さらに注意すべきは、中国の急成長に応じ、尖閣が領土という「点」から「線」と「面」
*2の問題に発展しつつあることだ。中国軍は、沖縄や台湾、フイリッピンに連なる島嶼(とうしょ)を「第1列島線」定めて海域を「内海」化し、いずれは日本列島からサイパン、グアムなどに連なる「第2列島線」の外に進出する戦略をたてている。中国の潜水艦能力が向上すれば、二つの列島線を突破されまいとする米国との間に攻防の緊張が高まるだろう。これが「線」の問題だ。最後の「面」は、中国が海海洋権益を確保するため、南シナ海だけでなく、東シナ海にも進出の勢いを強めていることだ。「点」については日中2国間でまず「棚上げ」が双方の利益である事を再確認すること。さらに幾重にも衝突回避の仕組みを作り上げ、多くの接触ルートで双方が判断ミスを避けることが重要だろう。「線」では、日本だけが米中対決の矢面に立たないよう、緊張緩和に向けて働きかけること、そして「面」では、、東南アジアを含む多国間外交を駆使して、中国の「覇権」志向に歯止めをかけることが大切だろう。かって尖閣は琉球王国に属した。当時は琉球、福建、台湾の漁民が周辺の海で平和に漁をしていたという。日中「対決」の波が険しくなれば、自衛力の増強や、沖縄における米軍基地固定化の声も出てくるだろう。緊張の高まりで大きな荒波をかぶるのは、いつも沖縄であったことを、忘れずにいたい。


'10.10.20.朝日新聞・編集委員・*1外岡 秀俊氏

関連記事:散歩道<検>氏名・*1外岡 秀俊氏3036.3618.3755、<検>政治、<検>中国、<742>*2壁を意識し、壁を越える・点とし、線とし、面として考える。