散歩道<3927>
オピニオン・耕論・外交と世論(1) (1)〜(4) 続く
大きな政治で内向き崩せ (首相が下す決断 世論のぶれ防げ)
今回の尖閣の問題では、日本の立場をきちんと守ることも大切ですが、同時にナショナリズムで日中関係が制御不能に陥らないように、互いに知恵を絞らなくてはなりません。小泉純一郎政権時の2005年、歴史認識をめぐって日中関係が悪化しました。日本の反応は、中国はけしからん、というナショナリズムで、中国もナショナリズムから反発し、悪循環に陥りました。ああいう事態を繰り返してはなりません。国民のナショナリズムをどうコントロールするかという問題に十分注意する必要があります。
外交には内政と違って、相手が存在します。国内政策は、国会が法律をつくり、行政府が自らの権限でやりたい事をやる。世論の批判を浴び、反対が強ければ、選挙で国民の信を問えばよい。ところが外交の場合、相手は対等の主権国家です。相手も利害を持っているから、どこかで妥協しなければならない。しかし、妥協がよかったかどうかは、その場その場では、なかなか判断できません。
また、外交の難しさは、相手もある程度の満足していないと合意が崩れるということです。交渉がよかったかどうかは、相手国との合意がどれだけ長続きするかで評価されます。世論調査の支持率が高くなければものごとが進まないというポピュリズム*1の政治だけでは、外交は危うくなります。
'10.10.13.朝日新聞 元駐米大使・栗山 尚一さん
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