散歩道<3926>
オピニオン・耕論・外交と世論(4) (1)〜(4) 続く
民主的外交公開し説明を
要員拡充が必要
こうした新たな状況のもと、外交はどうあるべきか。民主的な外交が世界的に広がっていく流れは変わらない。だとすれば、「政治主導」で外交を行い、それを国民に丁寧に説明し、納得してもらうことが肝要だ。しかし、その体制は今の日本にかけている。民主的な外交をになうにふさわしい体制を早急につくる必要がある。
たとえば鳩山政権が「政治主導」の目玉とした国家戦略局がある。これまでここで外交や安全保障などの国家戦略が議論された様子はない。まずは現在の国家戦略室において外交・安保政策について助言する機能を強め、専門スタッフを拡充してはどうか。首相を頻繁に変えないことも重要だ。「政治主導」の外交では各国首脳と信頼関係を築くことが欠かせない。長期間、首相が在任せねば、それはかなわない。
外交や安保は、いわば大地のようなものだ。揺れ動き崩れたら、通常の経済活動もできなくなる。吉田茂*1首相は「ディプロマティク・センス(外交感覚)のない国民は必ず凋落(ちょうらく)する」と語ったが、戦後、日本が長期にわたって経済発展を続けた背景に、安定的で賢明な外交判断があった事実を忘れてはならない。それがほころんだら経済も揺らぐことを多くの人が気付いた。その意味で今回の日中の衝突は、賢明な外交の大切さを知らせる格好のウエークアップ・コール(目覚まし)だった。
日本ではこれまで、経済が強かったお蔭で外交上の多少の失敗は許された。だが、今後は巧みで堅実な外交がこれまで以上に求められる。日本は多額の授業料を払ってそのことを学んだのであろう。
'10.10.13.朝日新聞・慶応大学准教授・細谷 雄一さん
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