散歩道<3925>
                             オピニオン・耕論外交と世論(3)                    (1)〜(4) 続く      
                              民主的外交公開し説明を        

ネットの過激化
 
 民主政治と外交はどうして相容れないか。米国の政治評論家リップマンは著書「世論」で「国境の外側の生活はその内側のどんな生活よりとびっきり縁遠い」と論じた。生活実感を伴う内政問題と異なり、外交問題について多くの人はその複雑な状況を十分に把握していない。それで国運を左右する決定をするのは、いかにも危うい。
 リップマンが生きた20世紀半ば、人々は通常、メディアを通じてしか世界のことを知りようがなかった。外交の現場に接したり、それに関して発信したりできるのは、新聞社などの大手メディアか職業外交官に限られていた。それが最近、事情が変わった。
 まず、既存のメディア、わけても新聞が力を失った。代わってインターネットが興隆。その結果、多くの人が新聞に頼らず、ネットを通じて国外の情報を簡単に入手できるようになった。さらに自分の意見を自由に発信できるようにもなった。その帰結として各国で生じたのが、より過激で攻撃的な言説、ナショナリスティックな発言が目立ってしまうという現象である。世論を意識する政治家はネットに広がる分、外交はやりにくくなった。


'10.10.13.朝日新聞・慶応大学准教授・細谷 雄一さん