散歩道<3922>

                            ザ・コラム・尖閣と日中 (4)                    (1)〜(4) 続く      '
                             ケ小平氏を超える知恵は

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 近代化を目指していまは隠忍自重し、尖閣はいずれ話し合おうという計算もあったのか。まだ先だと思われたが、今年は国内総生産(GDP)で日本を抜くなど、すでに大国化への気分が高揚しつつある中国。停滞する日本経済が中国依存を深めるようになったいま、「ケ氏の訪日」など記憶のかなたに消えてしまったかのようだ。
 誰もが驚くテンポだが、では「次の世代の人々」に知恵は生まれたのだろうか。ただただ高飛車な態度を世界に見せつけた中国と、あたふたとした日本。ボーゲル先生は海の向こうで「あのころよりも知恵がないねえ」と嘆くのだった。
 そういえば、冒頭のフォーラムで講演した中国人民対外友好協会の陳昊蘇会長は「大いなる知恵」や「大いなる外交」を唱えて「アジアの世紀」実現に日中の協力と団結が欠かせないと語っていた。大いなる知恵とは例えばどんなものだろう。
 中国が尖閣の領有権を主張し始めたのは石油資源の存在が分かった後の70年ごろだと言われる。ならば領有権は譲れなくとも、地下資源を日中で共同開発する道がある、と仲江氏。条約交渉の再開が待たれる白樺
(しらかば)(春暁)ガス田と同じ方式だが、もし台湾も加えられれば、東アジアの平和と繁栄により効果的かもしれない。一定の漁船乗り入れを認めるよう、漁業協定を広げる手も考えられる。
 いまや中国の領土的野心がそれで収まるかには疑問もあろうが、そこは日本も踏ん張らないと。共存共栄へ、ぼちぼちケ氏を超える知恵の出しどころだ。

10.10.13.朝日新聞・本社コラムニスト・*1若宮 啓文氏

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