散歩道<3912>

                          社説・日印FTA(2)                    (1)〜(2) 続く      
                        自由貿易圏へ弾みがつく

 もともと東アジア自由貿易圏構想の中心は日中韓3ヶ国とアセアンだった。だが日本は、著しく経済力を増した中国の台頭で中国主導の経済圏づくりが進むことを警戒した。そこで力の均衡をはかるためにインドや豪州の参加を求めるようになった。
 中国を上回る巨大市場になるとも予想されるインドの存在は、とりわけ大きい。韓国に続き、日本とインドのFTAでCEPEA構想にはずみがつく可能性がある。
 ただ残念なことに、鳩山政権も官政権も、通商戦略の構想は物足りない。政府が6月に決定した「新成長戦略」にはアジア太平洋自由貿易圏についての言及はあるが、その前提として実現すべき日中韓、日米などのFTAへの取り組みが弱い。
 インドとの間では大きな問題にならなかったが、これから中国や米国、EU、豪州とFTAを結ぼうとする過程では、農産物の市場開放という難題から逃れられない。菅政権は農家の支持を失うのを恐れて、この課題に向き合っていないように見える。
 米オバマ政権も景気回復の手だてとして輸出倍増計画を掲げ、その環境づくりのためにもアジア地域でのFTAに前向きになっているようだ。日本もここで積極姿勢に転換しなければ、新興市場の成長の果実をとりこぼすことになってしまうだろう。

'10.9.17.朝日新聞