散歩道<3898>
オピニオン・強制起訴(1) (1)〜(2)続く
「推定有罪」の現状覆す好機
検察審査会の議決によって強制起訴されれば、冤罪(えんざい)が増えるのでは、と懸念する声が上がっています。強制起訴されるだけでも社会的に重大な不利益を被る、という指摘もあります。
冤罪を生む刑事司法の諸問題や、死刑再審の刑事弁護を専門に研究してきた立場から、裁判員制度も含めた市民参加の司法制度改革の設計に携わりました。強制起訴権限を盛り込んだ改正検察審査会法は、強固かつ不変だと考えられてきた刑事裁判のゆがんだ構造を国民の手でただし、本質的な改革を迫る「トロイカ木馬」なのだと訴えたい。
民主主義国家における刑事裁判は、国民の負託を受けた裁判官や国民から選ばれた裁判員が、公開の法定で証拠を詳しく吟味し、被告が有罪か無罪かを公正に判断するのが本来のあり方。起訴はあくまでも一方の当事者である検察の主張に過ぎないのです。
被告には法定で堂々と防御する権利があり、「推定無罪の原則」に従って、有罪確定まで犯人扱してはいけません。「疑わしきは被告人の利益に」という鉄則も守らなければなりません。
ところが、有罪率99.9%の刑事裁判では、公訴権を独占してきた検察が密室の中で作った検事調書に基づきいったん起訴すると、裁判所がほとんどすべてを有罪と判断してきました。裁判所が検察の追認機関として「推定有罪」を推し進めてきたことになる。
'10.10.9.朝日新聞・東京経済大学法学部長・大出良知氏
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