散歩道<3897>     
                      
                         
オピニオン・中国とやっていく(2)                             (1)〜(2)続く
                            先方は企業の影響力に期待

 私の経験では中国とのビジネスで優位に立つ方法は、二つしかありません。
 一つは相手が簡単には追いつけない先進技術やビジネスでモデルをもっていること。周辺技術の供与は必要ですが、中核部分は中国側がどんなに強く要求しても、日本の外に出さないことが肝心です。
 もう一つは、企業自体が日本国内で一定の影響力をもっつことです。例えば三菱商事と中国企業が交渉するとき、中国側には「三菱と関係を結べば、業界に働きかけ、さらには経済産業省を動かして、プロジェクト推進に有利な環境を作ってくれる」という期待感があります。事業の内容が日本の国益に一致することが前提ですが、そうした相手の期待に応えることが重要とおもいます。
 かっては、モラルの低い起業家がいたり、極端に地元びいきの役人や裁判官がいあたりと、中国のビジネス環境には問題が多かったのですが、この10年間で規律や透明度は格段に向上しました。すでに日本の対中国輸出額は対米国を上回っており、切っても切れない関係です。 
 ただ、今回のように政治が経済に介入することが再び起これば,生産拠点を中国以外にも分散させることなど、「中国プラスワン」の動きが加速することは避けられません。
 中国は今年にも国民1人当り国内総生産が4千jに達する見通しです。他国の例をみても、経済がその水準に達すると、国民の政治への参加意識が強まる傾向があります。12年には改革・解放の総設計士として尊敬されるケ小平氏の薫陶を受けた胡錦濤総書記が交代します。このような背景がない次の総書記は、威信が低下するかもしれない。こうした状況が中国の政治・社会を不安定にし、今後も経済活動に影響を及ぼす可能性があるかもしれません。

'10.10.8.朝日新聞・元三菱商事中国総代表・武田 勝年さん   

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