散歩道<3896>     
                      
                         
オピニオン・中国とやっていく(1)                             (1)〜(2)続く 
                            先方は企業の影響力に期待

 中国とは30年近い付き合いですが、事実上のレアアース禁輸など政治問題を経済の世界にあからさまに持ち込んできたのは、今回が初めての経験です。小泉純一郎首相が靖国神社をたびたび参拝し、日中関係が冷え切った時期でさえ、ビジネスへの直接の影響は極めて限られていました。
 とはいえ、中国全体が反日感情に覆い尽くされているとは思わないほうがいい。
 先週、中国共産党員でもある国有企業会長と食事をしたのですが、彼は「一部の中国人がネット上で熱く盛り上がっても、大半は尖閣列島問題には関心がないし、領土的な野心もない。外国と本格的にことを構える国力などないことは、民衆が一番よく知っている」と断言していました。
 それは私の中国観とも一致します。今回の事態は、党と軍の一部にいる対日強硬派が一時的に発言力を持ったためではないか。政府も一枚岩ではないし、共産党にも経済界の人はたくさんいます。党内で、反省や批判も相当出ていると推測します。日中両首相の非公式な意見交換が実現するなど、中国側の歩みよりの動きもその表れでしょう。
 元々、中国人が「友好」という時には、ビジネスでも政治でも「仲良くすることで現実的なメリットがある」という戦略的なニューアンスが強いのです。実利に敏感な人々ですから、日本との友好関係を崩そうとは思っていない。

'10.10.8.朝日新聞・元三菱商事中国総代表・武田 勝年さん   

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