散歩道<3892>
クルーグマンコラム・中国に対抗すること 変わるか米国の受け身姿勢(3) (1)〜(4)続く
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中国の当局者は、信じがたいうえに極めて一慣性のない主張で、このような政策を正当化している。
彼らは、自分たちが為替レートを意図的に操作していることを否定している。私は(子どもが抜けた乳歯を枕の下に置いておくと、引き換えにお金を置いて行ってくれる)歯の妖精が2.4兆j分の外貨を購入し、寝ている間に枕の下に置いて行ってくれたのではないか、と推測する。いずれにせよ、中国の重要人物たちは、そんなことは重要ではない、人民元は中国の貿易とは何の関係もないのだ、と言うのだ。けれども、中国の温家宝(ウエンチャパオ)首相は人民元が切り上がる見通しについて嘆き、こう訴えた。「どんなに多くの中国の工場が破綻(はたん)に追い込まれ、どんなに多くの中国人労働者たちが仕事を失うことになるのか、我々は想像もつかいない」と。人民元の通貨価値は問題なのか、あるいは問題ではないのか。中国は両方の立場を取ることはできないのだ。
一方、外交について言えば、中国政府は今まで協力のかけらも示さないうえ、米国側の交渉担当者を度が過ぎるほどに侮っているかのようである。この6月、中国は人民元を市場で決る為替レートへと移行させることに恐らく同意したはずだ。これは、ブラジルのような国が参考になるとすれば、人民元の大幅な上昇となったはずであった。しかし、9月30日までの時点で、人民元は対米ドルでたった2%しか上昇していない。しかも、その上昇の大半はこの数週間で上昇したものであり、これは明らかにレビン法案についての連邦下院の投票を想定した動きだろう。
'10.10.7.朝日新聞・米プリンストン大教授・パウル・グルマン
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