散歩道<3891>

                      
 クルーグマンコラム・中国に対抗すること 変わるか米国の受け身姿勢(2)                  (1)〜(4)続く

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 ちょっと立ち戻って、世界の現状を振り返って見よう。
 主要な先進国は依然、住宅バブル崩壊とそれに続く金融危機の影響でよろめいている状況だ。消費支出は落ち込み、企業は自社の生産能力をフル稼働させるだけの売上げを上げることができず、事業を拡大する目的を見つけることができない。リセッション(景気後退)は公式には終わったのかもしれない。しかし、失業率は極めて高く、通常の水準に戻る見通しは全くない。
 しかしながら、新興諸国の状況は全く異なっている。こうした国々は経済的な嵐を乗り切り、デフレよりはむしろインフレと戦っており、あり余るほどの投資の機会を提供している。当然、相対的には豊ではあるが。経済的に苦境にある(先進)諸国の資本はこうした(新興)諸国へと流れている。そして、先進諸国は世界経済全体をこの不況から脱却させる上で重要な役割を果たすことができるし、また、そうすべきなのだ。
 しかし、こうした新興諸国の中でも最大の経済国である中国は、こういった必然的なプロセスが進むのを認めようとしていない。外国からの投資に対する規制は、民間資本の中国への流入を制限している。一方で、中国政府はその通貨、人民元を大量の外国通貨を購入することで人為的に低い水準に抑えている。これは実際には、輸出産業に補助金を与えるのと同じことなのである。また、こうやって補助金を与えられている輸出が、中国以外の国々の雇用を悪化させているのだ。

'10.10.7.朝日新聞・米プリンストン大教授・パウル・グルマン

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