散歩道<3888>
社説・ノーベル化学賞・(1) (1)〜(2)続く
「鈴木反応」が花開いた
鈴木章・北大名誉教授と根岸英一・米パデュー大特別教授が、今年のノーベル化学賞に決った。
受賞対象になった有機合成化学は、物質をうまく反応させて、医薬品からエレクトロニクス材料まで、さまざまな物質を作り出す分野だ。
一般にはなじみが薄いが、研究者にとっては理論的な面白さと同時に実用的にもきわめて重要な意味を持っている。
根岸さんと鈴木さんが開発した、パラジュームという金属を触媒とする「クロスカプリング」という方法は、有機物質の骨格を作る炭素を自由に結びつけることはができる。
2人の方法は「鈴木反応」「根岸反応」と呼ばれて、研究領域として大きく広がっている。とりわけ鈴木反応は広く使われている。
パラジュームを使った有機化合物は、日本人の化学といわれるほどに、日本人の貢献が大きい分野だ。
ほかにも日本人の名前がついた反応がたくさんある。2人と共同受賞したリチャード・ヘック氏が見つけた反応も、亡くなった溝呂木勉氏と連名で溝呂木・ヘック反応と呼ばれる。
化学的に面白くて有用な反応を見つける仕事は、アイデアさえあれば、少ない費用でできる。まだ研究費が十分でなかった日本に向いた研究領域だったともいわれる。
そんな領域が大きく花開いたことを示すのが今回の受賞だ。反応に名を連ねた多くの研究者たちを代表しての受賞といっていいだろう。日本流の化学の力を示したともいえる。
'10.10.7.朝日新聞
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