散歩道<3869>
オピニオン・あすを探る・経済(2) (1)〜(3)続く
障害者活かすゲーム理論
しかし、現代の経済学は、費用対効果の視点を保ちつつも、ゲーム理論の発展によって、大きく変貌(へんぼう)をとげた。ゲーム理論は互いに相手のことを考えた結果、人々がどのような行動をとるかを分析する学問である。たとえば、じゃんけんでは、相手の手が事前に分かれば、確実に勝てる。
じゃんけんでは、相手を出し抜くことが重要だが、状況によっては、みんなと同じ行動をとることが重要な場合もある。混雑した駅の通路で、みんなが右側を通行しているときには、自分も右側を通行すべきだ。同様に全員が左側通行に落ちつくこともある。
障害者の社会参加にも同じような側面がある。1人の車いすユーザーが就労しようとすれば、そこには大きな障壁が立ちはだかる。通勤経路や職場をすべてバリアフリー化しようとすれば、効果に比して莫大(ばくだい)な費用がかかるからである。しかし、百人が就労すれば、同じ費用で効果は百倍となる。効果が費用を上回るか否かは、人々の行動による。このような状況において障害者の社会参加を進めるには、まとまった人数が必要となり、一企業や一障害者の努力だけでなく、資源の集中投下や社会的な協調が必要となる。
'10.9.30. 朝日新聞・東京大教授・松井 彰彦氏
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