散歩道<3860>

                         クルーグマンコラム・2010年の1938年(3)                                 (1)〜(3)続く
                              同じ過ちを繰り返すのか                  
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 経済的な教訓は明らかだ。経済が大きく落ち込んだとき、通常のルールはあてはまらないということだ。財政的な厳格さは自滅を招くことになる。誰もが一斉に借金を減らそうとすれば、不況とデフレを招くことになり、借金問題は一層悪化することになるからだ。逆に国全体にとっては、借金以上に支出をすることが可能であり、実際そうすることが必要なのだ。一時的に赤字支出が跳ね上がっても、それが十分な規模であれば過去の過剰支出がもたらした問題は解決できるのだ。
 しかし、1938年の話はまた、こうした洞察を実際に適用するのがいかに難しいかも示している。ルーズベルト大統領の時ですら、大恐慌を終わらせるるために必要なことを実行するという政治的な意志などなかったのだ。最終的な解決は、つまるところ偶然の出来事によってもたらされたものだ。
 今度は、私たちはもっとうまくやるだろうと私は願った。だが、政治家もエコノミストも同じように1930年代の教訓から何も学ばずに何十年も消費し、昔の過ちを繰り返すことを決めた。少々不愉快なのは、11月の中間選挙で大勝利を収めるのが、私たちをこの混乱に陥れ、この混乱から抜け出すための行動をありとあらゆる力を使って妨害しようとする連中であることを認めなければならないことだ。
 しかし、このことはいつまでも覚えておいてほしい。それはこの不況は克服できるということであり、必要であるのは、ほんの少しの知性の明晰
(めいせき)さと、多くの政治的な意志だということだ。私たちがこういった美徳を、そう遠くない将来に見いだすことをただ願うばかりだ。


'10.9.9.朝日新聞・米プリストン大学教授・*1クルーグマン

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