散歩道<3857>
社説・イチロウ(2) (1)〜(2) ・・・・・発想を変える
ベースボール変革の10年
「打った安打数よりはるかに多くの悔しさを味わってきた」。失敗を重ねた分だけ、彼は進化してゆく。
年を経るごとに肉体は微妙に変化する。腹背筋で体の軸を保つなど、変えてはならぬものをより強固にする「深化」のために、最近式のトレーニングをその時々取り入れてきた。
試合前のストレッチや打撃練習も、無造作に見えて実は計算し尽くされている。チェックする体のポイントは100を超える。普段の生活でも全身の筋肉を意識して動く。自らの体と「対話」し、最上の状態を保つ。試合に臨むまでの膨大な準備こそが、彼の本当のすごさなのだ。
近く全米でテレビ放映されるメジャーを扱った番組で、イチローは「大リーグの国際化」の章に登場する。本塁打全盛の時代に革命を起こした・・・。そんな評価をうけている。
筋肉を増強する薬物を使ってでもパワーを得ようとする選手がいる時代に、彼は走攻守で圧倒的なスピードを見せ、ベースボールという文化の本質を母国の人々に思い起こさせた。その歩みは、メジャーにおける「変革の10年」だった。
昨年、キーラー氏の記録を超えたとき「人との戦いに終わりを迎えことができた」といった。誰もいない地平を歩き続ける姿から、私たちはまた、力をもらい続けるだろう。
'10.9.25.朝日新聞
備考、'10.9.4.イチローの話から:初めてアメリカ大リーグに挑戦したとき、人は大リーグの投手からボールを打てるかなと言った。今、人は、ヒットが出ないと、なぜでないのか、という質問に代わった。10年でそういう状況をつくったのは気持ちがいい。