散歩道<384>

                      面白い本(3)吉田秀和様の本(2)1000年の文化100年の文明          (1)〜(2)続く
                                     

この本は1958〜86年の間に色々な本に、書かれたものを纏めたものである。当時外国に行った人は少なかったと思う。日本と、当時の外国と比較して書かれたものとして貴重な本である。線を引きたいとページが実に多かった。その部分を(私流に、 A.絵画、芸術とB.音楽に分けてみた)

K日本人最大の特徴は、外国文物思想の浅博な模倣を喜ぶ心と、深いところで潜在する排外的思想との間の緊張ではあるまいか。L要するにハストラビスキーの場合でも常に新しく進むということが、芸術の倫理になっているのが見られるのである。芸術創造とは絶えざる自由の実現だという倫理である。M日本人とは日本は日本、世界は世界、どこまでもいつでもこの2つは別のものなのだ。N芸術は人生にどう役立つか?役立つも役立たないもない、芸術は人間の生きている、その生き方そのものの中に根を張っているもの、生きるということ自体の内容の一部にほかならないのです。だから芸術が人生にとう役立つかと聞くのは、人間の身体をみて、その手や足、あるいは心臓や肺臓について、何の役に立つのかと聞くようなものだと私は思います。
O私達が音楽というときのその思想の根本にあるものが生活と切り離して輸入された外来思想の悲しさで、およそ、抽象的にしか捉えてこなかったからである。P根本は外国の模倣であるが、何を模倣するかについての選択に欠けているのが、日本全体の音楽界。日本の批評家は自分達がこの作品、この演奏をどう感じたかを書かないで、まるで、その曲の都度その国の批評家の如く書くのが疑問だ。Q芸術の判断は全て特殊的でなければならず何が名手であり、名演奏であるかを、判定する基準は、特定の国の特定の時代に音楽を体験した人が、定めたものだからだ。R演奏家から個性ある演奏を要求し、引き出す環境つまり、特定文化の質をもつ公衆がいるのだ、自分達の耳が何をもとめているのか自覚しなくてはいけない。S日本音楽界の外観は非常に変化をとげた。その大略は西洋音楽の全面的模倣に精魂を傾けた。

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