散歩道<3839>
経済気象台(611)・財政政策議論
欧州ではギリシャ財政危機以降、財政政策に関し熱い議論が戦わされているようだ。つまり緊縮財政か積極財政かについてである。
「緊縮財政は、不況期ではなく、好況期に実施すべきだ」。ケインズは1937年にこう書いている。しかし、欧州当局者の間では緊縮財政こそ「景気回復の底固め」に必要とする発言や、「財政赤字への対処を怠ることは我々が直面する最大のリスク」との考え方が主流のようだ。
一方、ケインズ理論は、歳出削減が「景気の底固め」につながらないことを明確に説明している。民間支出が低迷している状況下では、政府支出を増やすか、減税することで総支出を回復させることができると論じている。民間部門の回復が本格化しないうちに政府支出を削減すると、事態を悪化させるだけだ。また金融政策と財政政策は一体的なプロセスであり、相互に代替的なものではないとも言っている。
だが、欧州当局者の考え方は、ケインズ理論と相入れない。民間消費の低迷は、現在の財政赤字が持続的不能の水準にあり、次代を担う若者世代が大きな負担を強いられる不安が、背景にあるからだろうとしている。しかし事実は、総需要が抑えられているから民間消費が伸びないのであり、話が逆だ。財政赤字は企業マインドが冷え込んでいる結果であって、原因ではない。景況感が低迷しているからこそ財政赤字によって景気を支えるのが「自然の道理」ではないか。
翻って日本では民主党の代表選の最中。候補者の財政政策に関する深い議論も聞きたい。筆者は今こそ日本のためには積極財政策を採用し、新しい社会資本の充実や新産業の創出を考えるべきだと思うが。