散歩道<3813>
経済気象台(603)・誰のためのデフレ対策か
与野党からデフレ*1脱却策が相次いで示されている・いずれも日銀に量的緩和を迫り、通貨を乱発してデフレ脱却を図るもの。これは金融政策の限界を無視した思考の怠慢だが、より大きな問題は、誰の為の方策かだ。
デフレというが、6月の全国消費者物価指数(総務省)は前年比0.7%下落となった。このうち、4月から実施ている高校の授業無料化による下落分を除けば0.2%の下落に過ぎない。しかし、政治サイドからはデフレは問題だとして、日銀にインフレ目標を持たせ、それが実現するまで国債などの買い増しで、通貨を大量供給させようという。欧米では量的緩和効果を疑問視する。日銀が買った株や社債が値下がりして損をすれば、結局税金で穴埋めすることになるのだが。
もとより液晶テレビは韓国などとの熾烈(しれつ)な技術競争で少しでも価格を下げようとする。牛丼も年収200万円族をつかもうと値下げに挑戦する。グローバルな経済戦争の中で技術開発を進め、一方で賃金コストを抑えざるを得ない。同じ家電でも技術競争の緩い冷蔵庫は下がっていない。企業利益が増え、生産も増えるが、労働賃金は下げ続け、年収200万円族が増える。これは日銀の通貨供給策とは無縁だ。
一方で、本革でもないのに有名ブランドというだけで何十万円もするバッグが売れる。
要は他の商品と差別化できるブランド力、付加価値を持つかどうかで、これは企業のアイデア力にかかる。今日のデフレの原因を精査せず、ただ通過を乱造してインフレにすれば、賃金は増えず、個人の購買力、金融資産は目減りする。喜ぶのは巨大債務を抱える財務省だけということになる。
'10.8.6.朝日新聞
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