散歩道<3803>

                          ザ・コラム・市場システム(3)                       (1)〜(3)続く
                          「価値」として守る覚悟持て

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 発想を転換すべきではないか、市場経済システムは自由主義の表現形だ。自由主義を基盤に据えて、「市場システムこそ守るべき価値である」という点から出発し、新しい時代の「道徳」をつくる、という方向に転換するのである。
 それは「弱肉強食の競争がすべて」という道徳ではない。市場ルールを無視した金もうけは論外だ。市場経済は、人々の相互の信頼が保たれてこそ正しく機能するからだ。市場ルールを無視する拝金主義者は、ルールを守る人々のまじめさにつけ込んで、市場システムを傷つける。市場システムを守るという覚悟からは、自然と「商取引における誠実さ」労働者、経営者、投資家の間の所得配分の公正さ」「他者の活動への寛容と敗者復活の機会均等」などのルールが導きだされるはずだ。
 金融危機の中で、世界中の国が市場経済とどう向き合うかという問題に直面している。どのような価値観を持つにしても、市場のルールを守り、痛みをこらえてバブルの処理を進める国は活力と希望を取り戻し、市場のルールをごまかそうとする国はバブルの後遺症で衰退するだろう。日本は、この市場の価値観を巡る闘いの最前線にいるのである。


'10..8.25.朝日新聞・一橋大学教授・小林 慶一郎氏

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