散歩道<3795>

                            社説・65回目の終戦記念日(3)                     (1)〜(3)続く
                              「昭和システム」との訣別                                             

生きているあなた
 「敗戦忌昭和八十五年夏」(7月26日 朝日新聞)。戦後65年にあたって考えるべきは、戦争を二度と繰り返さないという原点の確認とともに、「戦後」を問い直すことではないだろうか。それは「昭和システムとの訣別」かもしれない。
 家族や地域といった共同体の崩壊や少子高齢化によって、日本社会は昭和とは全く相貌
(そうぼう)を変えている。グローバル化が深化し、欧州連合の拡張で国民国家の枠組みすら自明のものではなくなる一方で、アジアでは、中国の台頭が勢力図を書き換えつつある。昭和の物差しはもう通用しない。
 「ANPO」の挿入曲「死んだ男の残したものは」(谷川俊太郎作詞、武満徹作曲)は、こう歌う。 
 「死んだかれらの残したものは 生きているわたし生きてるあなた 他には誰も残っていない」
 政権交代は、小さな一歩に過ぎない。政治主導とはつまるところ、主権者である国民の主導ということだ。
 過去の成功体験を捨て、手探りで前に進むのは不安かもしれない。だが、今の時代に「生きているわたし生きているあなた」しかいない。


'10.8.15.朝日新聞

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