散歩道<3783>
オピニオン・歴史をつくれるか 民主党政権(4) (1)〜(6)続く
なお体制移行の途上 討議民主主義活用を
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第一に上げるべきは財政赤字への対応だ。「100年に一度」のと言われる世界的な不況もあり、民主党政権は新たなアイデアを実現しようにも財源がないという苦境に陥っている。とはいえ、まずは赤字国債の拡大をいかに止めるかに取り組まなければならない。
情報公開や地方分権も上げられる。いずれも資本主義国に共通する課題で、これまで記者クラブの開放や外交秘密文書の公開で成果があった。他国と比べ、まだ遅れてはいるが、一歩は踏み出した。
医療・福祉の問題にも対処せねばならない。特にこれまで貧弱だった子育て支援は充実すべきだ。
最後に「未来」への視点について。世界は今、近代社会が根本から変容する時代にある。トランジション下の政権担当者には数十年先を見据えた発想が求められる。
その点で目を引くのは、鳩山政権が温暖化対策として打ち出したCO2の25%削減だ。「空想だ」との非難も出たが、将来に一石を投じたのは間違いない。
「新たな公共」も重要だ。「市民の世界」の中に、皆がつながれる「公共圏」をつくるという考えで、これまでにない新しい発想だ。これに関して私が提案したいのが「討議民主主義」である。
討議民主主義とは何か。一言でいえば、市民が討議を通じて参加する制度。欧米諸国ではすでに様々なものが試みられている。たとえば、「討議型意見調査」は、無作為抽出で選ばれた参加者があるテーマに関して討議をした後、どういう意見を持つようになったかを調べ、施策にいかすというもの。他にも市民陪審制、コンセンサス会議、計画細胞会議など意欲的な取り組みが少なくない。
民主党マニフェストの転換が取りざたされている。世の中の動きにあわせてマニフェストを修正することは、私も必要だと思うが、その際、討議民主主義を何らかの形で使ってはどうだろうか。政党に任せきりにせず、公共の討議を通じて皆がマニフェストを考えることの意味は大きいと考える。
'10.8.10.朝日新聞・東京大名誉教授・篠原 一さん
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