散歩道<3782>

                         オピニオン・歴史をつくれるか 民主党政権(3)                (1)〜(6)続く                          

 なお体制移行の途上 討議民主主義活用を 
 
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 そこで見られたのは革命ではなく、じわじわと進む改革であった。とはいえ単なる平面的な変化ではなく、落差はある。そこを革命的にならないようにいかに乗り切るかが問われていた。同様に政権交代後の日本で起きていることも、もう一つの民主主義へのトランジションは「過去」、「現在」、「未来」の側面から分析することが必要だ。その「第一幕」である鳩山政権におけるトランジションはどういうものか。この三つに照らして、みてみる。
 トランジションは「過去」から断絶することで始まる。民主党政権にとって過去とは「55年体制」で形成された政治・社会構造であった。断絶の方途として掲げたのが、官僚主導から脱却▽「コンクリートから人へ」
*1、つまり土建国家からの脱皮▽対等な日米関係の構築、などだった。
 官僚主導からの脱却は、事務次官会議を廃止するなど進展があった。土建国家からの脱皮も、無駄な公共事業にかなり切り込むなど、ある程度進んだ。
 問題は対等な日米関係である。基地に関しては日本はいまだに米国の「占有地」だけに、難しいだろうと懸念していたが、鳩山政権はやはりそこで挫折してしまった。
 ただ、鳩山さんが「普天間飛行場を国外か県外に移す」と言ったことは、これまでの首相が言えなかったことを口にしたという点で意味がある。トランジションならではであり、鳩山さんの理念はなおざりにすべきではない。次に、トランジション下の日本が「現在」と取り組むべき課題をみてみよう。

'10.8.10.朝日新聞・東京大名誉教授・篠原 一さん


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