散歩道<3781>
オピニオン・歴史をつくれるか 民主党政権(2) (1)〜(6)続く
参院選の敗北、党内の混乱・・・菅首相のおと、民主党が揺らいでいる。人々をわくわくさせた昨夏の政権交代は、遠い昔のことなのか。
東西の政治史に詳しい篠原さんは「ちがう」という。 菅首相は何をすべきか。民主党政権の歴史的役割は。
なお体制移行の途上 討議民主主義活用を
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「55年体制」と言われた自民党優位体制がなんとか崩れないか。そんな思いで日本の政治を見つめてきたものにとって昨年の政権交代までの道のりは実に長かった。
崩壊の兆しを初めて感じたのは70年代半ば。自民党を脱党した河野洋平氏らが新自由クラブを結成。さらに社会党を離党した直後に急死した江田三郎氏の意志を継いだ息子の五月氏が、市民活動家だった菅さんらと社会市民連合を旗揚げした頃だった。
しかし事態は一向に進まない。93年に非自民連立の細川政権ができ、いよいよ崩壊かと胸を躍らせたが、細川政権の方が早々と崩壊。自民党が復権した。それだけに昨年は「今度こそ本物だ」という格別な感慨を抱いたのである。
では、この政権交代をどう評価するべきか。私は、西欧や中南米の国々で70年代以降に起きた権威主義政治体制から民主主義体制への移行と似たような過程が、日本にも起きていると捉えている。
トランジションの嚆矢(こうし)はスペインである。75年のフランコ総統の死去を機に独裁政治から王室を中心とする民主的な立憲国家へと移行した。これは隣接するポルトガルやギリシャの南欧諸国に波及。中南米諸国にも広がり、民主主義の安定をもたらした。さらには南欧の変革の手法から学んだ89年の東欧革命へとつながっていった。
'10.8.10.朝日新聞・東京大名誉教授・篠原 一さん
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