散歩道<3762>          

                         仕事力・素であることこそ強い(4)                (1)〜(4)続く

 デザイン意識を研ごう

ゴールをリアルに描く     車内では顔を上げよう
 明確にイメージできない仕事はスタートするなといっています。どのような規模の仕事でもそのプロジェクトや製品が完成した様子がイメージできないうちに走り出しては駄目です。そのイメージというのは「目標を立てる」ことももちろんですが、目標は具体的な展望を見据えて「デザインすることです。日本では、デザインという言葉を意匠と言い換えて使われきましたが、政治の世界でも大きな着想をグランドデザインと呼ぶように意志を持って構築する力ともいえます。デザインすることと共に、感じる、考える、ゼロから一を生み出す力。これが仕事人として伸びていくためには最も必要だと思います。現在の仕事は新しい価値観をデザインする、まさにゼロから一を生み出す仕事か、あるいは会計士や弁護士などに代表されるような、既存のものをベースに一から二、三にしてゆく仕事かの二つに分かれます。攻める仕事か、守る仕事か。少しづつでも型を破るのか、型に入っていくのか。自分自身はどちらの意識を持つ人間か、心の内を真っすぐ見つめることも大切です。
 電車に乗るとすぐ携帯電話を手にする、デスクに戻ると周囲とはほとんど話もせずパソコンに向かう。そんな風にいつも下を向いている人が非常に多くなりました。これでは頭の中が他者からの二次情報に占有されてしまい、自分で感じたり、発見したりするクリエーティブな意識が動かないのではないでしょうか。便利で効率的なことを追い求めるのは快適に見えて実は感受性という仕事に大切なものを台無しにしているのです。
 東京、名古屋間にリニアモーターカができたら約40分で移動できそうですが、そのスピードを享受する一方で、失われていくものは何でしょうか。車窓からの景色や旅情、間合いまでも失われることになります。物事の表裏、現象だけでない深さ、目に見えていない人の思い。いい仕事する為にはそこまで想像していかなければなりません。大切なのは「私ならどうするか」「私は何を感じているのか」という自分の視点に立ち返っていくこと。メールや、ツイターが当たり前の毎日ですが、自分は本当に好きなのかと考える。自分の身の回りにいる人を喜ばせる方法はないだろうかと発想してみる.新しい価値観はそういう日々の感受性から誕生するのです。またそれが仕事を飛躍させる足がかりにもなります。世の中は大きな流れやコントロールされた習慣で動いていますが、そこに身を任せるだけでなく、意識的に見る目を鍛えていきたいものです。


'10.7.4〜7.25.朝日新聞パルス代表取締役社長・高島 郁夫氏

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備考:この文章を読んで、坂本九ちゃんの歌、”上を向いて歩こうよ!”の必要性を思い出した。