散歩道<3753> 
     
                              Opinion民主党外交(1)             (1)〜(2)続く
                           
アジア諸国との安保対話を           

 7月11日の参院選で民主党は敗北した。有権者が政権党としての自民に見切りをつけたのが、昨年の衆院選だった。今回は、一転して民主党の政権担当能力に疑問符がつけられたのである。責任ある政権党としての資質を磨くことである。
 鳩山由紀夫前首相が主導した外交は思いが先走り、現実に目を閉ざした素人外交だった。ただそこには鳩山氏の夢が存在した。6月2日の両院議員総会での鳩山氏の退陣表明には、その思いがにじみでていた。鳩山氏は、日本の平和を日本人らの手で作り上げるべきことを論じ、「米国に依存し続ける安全保障、これから50年,100年つづけて良いとは思いません。・・・その中に・・・、今回の普天間の本質が宿っている」とのべた。そして「東アジア共同体」についても、今すぐではなくとも必ずその時代が来ると語り、国境を感じない世の中に日本を開く未来像を描いたのである。
 米国への依存を減らすことで自前の外交を築き、東アジアに平和を実現しようとする鳩山氏の願いには、多くの日本人が共感を持つだろう。事実、この種の思いは、戦後一貫して日本の政治と社会に根強く存在してきた。しかしそれは、日本政府の政策決定にとって重要な国内環境の一部ではあっても、政府の最高指導者の外交を動かすことはなかった。結局のところ、現実の壁に拒まれた鳩山外交は普天間の問題をめぐって時計の針を10年以上戻し、事態をより複雑にした。

'10.7.21.朝日新聞
 慶応大学教授・添谷 芳秀氏