散歩道<3751>

               オピニオン・2010のフットボール(2)                (1)〜(3)続く
              
愛国心グローバルな目覚め 

       散歩道の原稿の張り合せ右・コピー:7.30b、左・手書き:11.80b   2010年7月22日                               




    「我々意識」生む
 
 国旗が掲揚され、国家が歌われる中で、多様な人々の構成する代表チームがナショナルプライドをかけて戦う。そこには極めて整合的に擬似的、人為的な「我々意識」が形作られます。グローバル化時代の代表チームは、これまでのように民族的、人種的同質性を持った選手で構成されるのではないのです。雑種性をはらみ、縦横無尽な越境性をまとっているのです。
 見る側の意識も確実に変わっています。ドイツでは、代表が生粋の自国民だけではないことを知っていて、自国の応援に熱狂しているでしょう。日本でも、もともと日本人ではない選手も迎えて、誰も違和感を表明しない。解説者だってアジア系でない人たちが、自由に、熱く日本代表について語っている。
 人種、民族混交型の代表チームが増えることで、一見、レイシズム(人種差別)もなくなりそうに思えます。今大会でフランスは早々に姿を消しました。移民の国、フランスでは1990年代以降、非白人が代表の主流を占めるようになり、人種融和の象徴のように言われてきました。しかし今回の惨敗の結果、本国でグローバル代表チームの人種的構成について、差別的発言が相次いだと伝えられています。
 レイシズムはなくならない。でも、変質しているのです。有色人種が白人の国の代表に入れない、という形ではなく、入るようになったからこそ起きた差別、グローバル化時代に対応したレイシズムではないでしょうか。
 グローバル化が愛国心やナショナリズムを壊すのではなく作りかえる。これまで考えられてきた愛国心を変質させる。そして、日本人観が変わっていく。それふが、サッカーの面白さだと思います。

'10.7.14.朝日新聞 東京大教授・姜 尚中氏