散歩道<374>

                            山折哲雄様講演会・日・中・韓のブッダロード

 今日('04.9.23.)の講演会の興味は正倉院に飾られた1枚の絵画である。その名は”捨身飼虎図(しゃしんしこず)
(須弥座の腰板両側面に描かれたもの)

 そこに仏教の教えとは違う絵が、描かれていることに、1つの大きな発見をされたという話である。その一番下段の部分に描かれた絵には、人が虎に食べられている絵である、
(仏教では、そのような残虐さの教えは説いていない)
 このような恐ろしい絵は、仏教の教えからは考えられないというのである。その疑問を解決する為、色々の資料を研究されていくうちに、中央アジアの遊牧民族の”動物解体”という事実が、普通行われていることを知られる。食物連鎖
(自然界における食うものと、食われるものとの一連の関係)
(狩猟社会では、人と動物もgive and takeの関係が存在しても不思議ではない?)
 シルクロードの国際学会で敦煌やトルハンに行かれた時に、捨身飼虎図の絵に何度もあわれることになるが、そこでも〔三段の中の、一番下段の虎に人が食べられている所は殆ど、削られていた)事実に会われる。ここの住民も、この絵に正視できない、ある嫌悪感を感じていたのであろうと思われる。もっと西に行くと、インド、ガンダーラ地区でギリシャ、インド、中国文明が一緒になって、仏像が作られた事実に会われる。そこでは仏教のみならず文化、芸術が影響を受けているのである。
(元々この絵は、中国的要素の多い絵である、7世紀中ごろ朝鮮系の画家が隋朝の作風も加えて描かれたものであろうといわれている。)
日本では、華厳教の旧仏教の原点として、  お寺や僧によりこれらの教えは伝えられている。2000年後の今、アフガンの三大文明があった所は戦争の真っ只中である。日本でも8世紀以降、これらの教えは、精神史の中で伝えられてはこなかった。21世紀は、キリスト教、仏教、イスラム教の対立ではなく、これらの絵は、自然と人間がどのように共存していくのかの実例的な実験を示しているのではないか。


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