散歩道<3633>
opinion・新世界・国々の興亡<10>
グローバル化「国家の復権」導く(4) (1)〜(5)続く
経済統合に向けた協調こそアジアの利益
・・・米国は欧州の統合を好意的に扱いました。しかし、アジア太平洋地域の統合については鳩山由紀夫首相の「東アジア共同体」への対応もそうですが、冷淡です。なぜなのでしょう。
米国務長官を務めたヘンリー・キッシンジャー氏が「欧州に電話する時には何番をかけたらいいんだ」と語ったとの逸話があります。この逸話のミソは、彼が一つの欧州の電話番号、つまり「一つの欧州」を求めていたという点にあります。米国の誰も「大欧州」を恐れてはいけないのです。欧州にはもはや米国と決定的に対立する戦略的利益はないからです。一方、東アジアには中国、韓国などパワーを増大させている国々があります。日本はより自立しつつあります。米国の外交官の東アジアに対する態度と非常に似ています。当時の欧州は不安定で信用できない、危険な競争相手たちがいるというものです。皮肉な言い方になりますが、30〜40年代の米国は非常に幸運だった。欧州は互いに破壊し合ったのです。第2次大戦で英国は経済が疲弊し大英帝国を失い、フランスも屈辱を与えられ、ドイツは信用を失った。しかし、米国はアジアで、中国と日本と韓国の間でそのような「都合の良い」戦争を期待することはできません。
'10.6.1.朝日新聞・ 歴史家・トニー・ジャット