散歩道<3632>
opinion・新世界・国々の興亡
グローバル化「国家の復権」導く(3) (1)〜(5)続く
・・・欧州統合の推進力の一つとなったのは、各国の社会民主主義政党でしたね。
欧州の社会民主主義政党はすっかり方向感覚を失ってしまいました。(社会福祉などの)あらゆる制度が実現し、もはやプロジェクトも野心ない。彼らは今や正義や公正を厳かに語りますが、バルカン半島で紛争が起こった時、不法な振る舞いに何も言わなかった。非常に身内本位かつ内向きになっていました。グローバル化も作用しているでしょう。グローバル化は政治的な逆流を生み出しています。私たちは「新たな不確実の時代」に入ったのです。気候や経済の不安定さ、テロ、そして政府はもはや私たちが暮らす環境をコントロールできないと感じています。グローバル化は抽象概念ですが、失業やテロの恐怖はむごい現実であり、容易に政治に跳ね返ります。これからの時代は国家の衰退ではなく国家の復権を見ることになるだろうと思います。
・・・将来の欧州と米国との関係はどのようになるでしょうか。
地中海地域や旧ソ連周辺が世界の危険な地域だった時、欧州は信頼できる同盟国の必要を強く感じ、米国を重視しました。しかし、今後25年間、世界で危険な地域は中央アジア南部、イランからパキスタン、インドに至る地域です。米国の外交の観点からすれば、欧州はこの地域とは関係がなく、それほど力になることはできません。欧州の人々はもし自分たちが米国にとって引き続き重要な地域なのだと考えるならば、大きな誤りを犯すことになります。
'10.6.1.朝日新聞・ 歴史家・トニー・ジャット
