散歩道<3545>

                        経済気象台(563)・日本憂国論のたかまり

 最近人に会うと「これから日本は、どうなるんでしょうか」というセリフが、あいさつ代わりに交わされるようになった。このような会話は、街で一般的に主婦の間でも行われている。
 周囲を見渡しても、景気悪化、失業、所得格差、賃上げストップなど暗い話が横行している。将来日本がどうなるかに関して、誰も自信が持てず、また明るい見通しが開けてこない状況にある。
 このような逼塞
(ひっそく)状況には、二つの理由があると思う。一つは、日本経済の長期的な停滞である。バブルが崩壊してからここ20年近く、名目GDP水準はほとんど横ばい、一人当り所得、競争力、世界GDPでのシェアなどでみて、日本は国際的にその順位を大幅に低下させてきた。40年以上維持してきた世界第2位の経済大国の地位も、お隣の中国に早晩、奪われると見込まれている。輝かしい過去の歴史を知る我々は皆、自信喪失しているのだ。
 もう一つは、政治の混乱である。昨年秋、国民の多くは大きな期待を抱き、民主党の政権交代を認めたのに、その後の展開は信じられないほど政治的に迷走している。特に政治とカネ、あるいは普天間飛行場問題などで、民主党は政党として明確な決定を国民に示せず、いたずらに時が過ぎている。
 自分の意見を持たずにいつもぶれる首相の姿を見ていると、国民としてなんともやりきれない気持ちになる。内閣の支持率が続落するのは当然である。その一方で受け皿となる自民党も自壊状態にあり、頼りにならない。
 このようなうっつしい気分こそ、日本憂国論に結びついているのだ。政官財そして国民が総力を挙げ、立ち向かわねば打開の道はないだろう。


'10.4.16.朝日新聞