散歩道<3544>
経済気象台(562)・ドル円相場の方向感
ここ1年余りのドル円相場の流れは、どちらかと言えば1j=100円から80円台への円高の動きであった。この背景には、米国の金融システム不安にともなった米連邦準備制度理事会(FRB)の超低金利政策により、元々低かった日本金利と差が大幅に縮小したことや、日本国内の円資金が相変わらず対外投資に向かわず日本の国債投資に集まったことだと思う。
しかし、ここ1ヶ月で円安に戻り始めており、直近では90円台半ば近くまで円安に戻ってきた。これは今年2月にFRBが公定歩合を引き上げ、市場に米利上げ期待が強まってきたことや、米景気に底打ち感が出始めてきたことからだ。
この円安傾向は本格的なトレンドなのか。これからも円安要因は多い。@日米の金利差拡大A米経済の回復B日本の不安定な政治C内需不振から日本企業の海外投資の活発化D個人マネーの海外高金利商品へのシフトE規制緩和の遅れや法人税の実効税率高止まりにより海外からの日本株投資が不活発な状況がつづく、ことなどがあげられよう。
一方円高圧力と言えば、米金融システム安定化の遅延から米景気低迷が長引き、利上げが見送られ、日米金利差が思ったほど拡大しないこと。現在叫ばれている「中国は通貨操縦国」だとの批判をかわすために中国が元を切り上げることによるドル安の動きなどが挙げられる。
しかし、円安、円高の綱引き要因を考えても円が買われ円高になるとは思えない。直近の日米の卸売り物価や消費者物価をベースとして購買力平価でもそれぞれ約100円と130円の円安である。日本の輸出回復に寄与する100円を超える良い円安を予想するし、期待する。