散歩道<3543>

                        経済気象台(561)二番底懸念は消えたのか

 内外の景気回復が鮮明となり、株価も上昇をつづけていることから、景気の二番底懸念はすっかり影を潜めた。実際、各機関の内外経済見通しは上方修正され、経営者のマインドも改善している。しかし景気回復の実態やその不安定さを考えると、二番底懸念が雲散霧消したと見るのは、楽観的に過ぎないだろうか。
 景気回復の最大の原動力が、、在庫積み増しという短期・循環的な動きと、各国で採られた大規模な景気刺激策での効果であることは、明白である。しかし、在庫復元に伴う生産回復はいずれ終わる。持続的景気回復にバトンタッチできるかの鍵は雇用・所得にあるが、多くの国でその回腹は遅れている。背景には、需給ギャップの拡大や成長力の低下への懸念がある。また、金融危機のトラウマが銀行貸し出しの停滞と投資回復の遅れを招いている。したがって、在庫積み増しが終わる時、景気回復力が減退する懸念は残っていると見るべきだろう。
 景気刺激策の効果も、次第に薄れつつある。先進国では、財政事情の悪化を背景に、自動車購入補助などのプログラムを廃止・縮小している。新興国は、インフレの高まりやバブルに対する懸念から、金融引き締めに転じている。景気刺激策が、将来需要を先取りしていたとすれば、政策転換はすくなからぬ反動減をもたらすことになる。そして、世界経済減速の影響を最も強く受けるのは、輸出に頼りきった日本である。
 通常の契機刺激であれば、その累積効果が持続的・自律的景気回復をもたらすことが多い。しかし現在の景気回復は、これまでとは性格が異なる。そこに、二番底の懸念がぬぐい去れない理由がある。

'10.4.8.朝日新聞 

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