散歩道<3530>                      
                    opinion・新世界・国々の興亡<5>  
                    新たな紛争、「介入」から「保護」へ(1)          (1)〜(5)続く       自分流に抜粋しました

・・・・東西冷戦後の20年間で、紛争の性質や傾向はどうかわりましたか。   
   冷戦後、国際紛争とその犠牲者は減少しました。20世紀前半と冷戦後を比べると国にとっての年間戦争発生確率は大幅に低下したとの報告もあります。一方でその形態は、ゲリラが原始的な武器で戦う紛争と、3万キロ先の敵をハイテク兵器で攻撃する紛争の2種類に分けられます。また、伝統的な軍隊同士の衝突ではなく、いわゆる「非対称戦争」が増えており、その結果、多くの市民が国境を越え、国内でも避難生活を強いられています。近年は紛争の新たな火種として気候変動問題や核兵器の拡散が懸念されています。最近の紛争で最悪の例はスリランカ内戦です。昨年前半、同国政府は政治解決の道を探るべきだとした我々の主張を無視し、反政府武装勢力カタミル・イスラーム解放の虎(LTTE)に対する軍事解決に踏み切りました。国連の安全保障理事会も人権委員会も全く見殺しにし、悪い前例の見本のようになりました。
・・・・新しいタイプの紛争にどう対応していくべきですか。
   究極のところ紛争予防は、人々が銃ではなく手続きとその手続きを確かなものとする政府の機構を使うかどうかに尽きます。話は少しずれるかも知れませんが、米国の医療保険制度改革法案をめぐるすさまじい闘争を見て下さい。民主党と共和党の党派的戦いは感情も言葉も激突しましたが、最後は投票で決着するんです。投票が終わってもそれでそれで終わりではなく、裁判に訴える道があります。成熟した民主主義社会では人々は敗北を受け入れることができます。彼らは投票も政権も次のチャンスがあることを知っているからです。強権・独裁体制下では必ずしもそうはいきません。軍事紛争を予防し封じ込めるには、いかにして中央政府の統治機能を育てるか、特に「法の支配」を確立するかが最大の課題でしょう。

'10.4.27.朝日新聞・国際危機グループ(ICG)理事長・ルイーズ・アーバー
                聞く人朝日新聞主幹・船橋洋一氏

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