散歩道<3519>
opinion・新世界・国々の興亡<4>
G20、国連と相互補完し問題解決を(4) (1)〜(4)続く 自分流に抜粋したものです
ドルへの信認決めるのは市場と投資家
・・基軸通貨としてのドルの地位を当然視すべきでない、とも指摘しました。
私は、どの通貨で資産を保有するかは金融資産を持つ人が自ら決めるというのが現実だと思います。国家は市場の流動性を高めたり、市場がよりうまく機能するようにしたり、投資家に資産が守られていると感じさせることを通じてその国の通貨をより魅力的にする環境づくりはできます。しかし、最終決断するのは投資家であり、市場です。これまでは危機が起これば安全な避難先は米ドルでしたが、投資家が(他の通貨への)信認をより高めれば、資産を移したり、資産の配分を変えたりするかも知れません。私が米国について言いたかったのは、現状を当然と思うべきではないということ。ドルの基軸通貨は、ずっと変えられないことでも、政策当局者が決めることでもありません。市場が決めることであり、(初代財務長官の)アレグサンダー・ハミルトン以来の米国の行動への評価です。だからこそ、国の財政政策や金融政策が重要なのです。歴史的な例としてナポレオン戦争を挙げたいと思います。ナポレオンには、自分たちで現金を集めるか、他人の資産を盗むかしかやり方がなかったのに対し、英国は証券を発行して資産調達しました。英国は米国の独立以降、資金調達力が落ちていました。それをピット首相が復活させ20年間の戦争を持ちこたえたのです。
・・・・・冷戦終結で期待された「平和の配当」はおもったほど生み出せなかった。
私はクリントン*1政権が90年代後半に財政黒字を生み出したという事実が過小評価されていると思います。国防費が大きく削減された一方、株式相場が上昇したことで巨額のキャピタルゲインが生まれ、それに伴う歳入増が要因でした。平和の配当はたくさんの国々にももたらされました。20世紀の間続いていた欧州の分裂を克服したこと自体が大変な成果です。欧州連合に中欧や東欧が組み込まれ、それがバルカン半島諸国にもプラスになっています。完全に成し遂げられてはいませんが、欧州の成功は磁石のように皆を引きつけています。もう一点は中国とインドの発展です。中国やインドの人々だけでなく、その経済的な恩恵は他のアジア諸国にも広がっています。日本の成長は中国の成長と密接な関係があります。ただ、それは新たな挑戦ももたらしています。台頭する中国、インド、ラテンアメリカをどう(世界に)統合し、共有の責任をどう担ってもらうのかという問題です。その意味で、中国の成功は新たな試練を生んでいるのです。
'10.4.20.朝日新聞、世界銀行総裁・ロバート・ゼーリック氏
関連記事:散歩道<54>*1クリントン大統領と国文学者橘 曙覧
![]()