散歩道<3505>
社説・米核戦略転換・「非核の傘」さらに大きく(1) (1)〜(2)続く
オバマ米大統領が,核戦略について英断を下した。
米紙の会見で、核不拡散条約(NPT)を順守する非核国に対しては核攻撃をしない方針を明らかにした。通常兵器は勿論、生物・化学兵器による攻撃やサイバー攻撃にたいしても、原則として核よる報復攻撃をしない。核の役割を縮小する転換である。最新の核戦略見直しの柱の一つだ。同盟国を核抑止で守ることは「非核の傘」と呼ばれる。これに対し、非核国を核攻撃しないと保証することは「非核の傘」とも言うべき、新たな安全保障政策である。
米国はこれまで、核兵器を持つ国はもとより、その同盟国も「非核の傘」の外においてきた。オバマ新戦略によると、これからはNPT加盟の180カ国以上の非核国が対象となる。「非核の傘」が広がることで、NPTの一員として条約を順守する利点もはっきりする。非核を撤廃すれば安全もより確かになる、という考えを根付かせる力になろう。
今後の大きな課題は、米国以外の核保有国を同調させて、「非核の傘」を世界標準にできるかどうかだ。
今のところ、ロシアは非核国に対しても核使用を辞さないというのが基本戦略だ。北大西洋条約機構(NATO)に比べて通常戦力で劣るロシアの態度は硬い。まずはNATOが、オバマ新戦略に合わせるのが得策だろう。NATOメンバーである英仏もそれに賛同したうえで、より包括的な軍縮、安全保障協議を進め、ロシアも「非核の傘」を広げるよう、促すべきだ。
'10.4.7.朝日新聞