散歩道<3496>

                      opinion・新世界・国々の興亡<2>      
                     過信が恐怖に 繰り返される金融危機・(1)      (1)〜(4)続く          自分流に抜粋したものです

・・・ここ20年で、ほぼ3年に一度は金融危機が起こっています。そして、その振動や規模、影響度合いは悪化するばかりです。この減少をどうせつめいしますか。
 トルストイの有名な言葉に「幸福な家庭はみな似通っているが、不幸な家庭は不幸なさまがそれぞれ違う」とあります。金融危機も、それに至る固有の事情を抱えています。しかし、総じて言えば、過信が恐怖感に変わると、逆回転するように資産価格が下がり、さらなる売り圧力につながって、大変な不安定化をもたらします。だから、金融危機の根底にあるのは、レバレッジと負の連鎖反応です。
 古典的な経済学では、(モノの)価格が下落すれば、需要が増えて供給は減ります。しかし金融市場では、価格が下がれば、より多くの人が売りにはしり、供給がさらに増えます。恐怖感で需要は落ち込み、状況は不安定になっていきます。こうした原理はほとんどの金融危機に共通しています。

・・・でも、危機のこの頻度の多さはどう説明すればいいのでしょうか。
 インフレがうまくコントロールできていない時代には、定期的に急激な金融引き締めがあり、資産バブルが拡大する前に経済は景気後退に入るか減速していました。こうした引き締めがなければ、資産価格の膨張と、バブルの崩壊という伝統的な病がより多く起こります。ある意味では、世界が平穏になり、インフレをうまく制御できるようになったため、(定期的で急激な引き締めをしなくなって)危機が起こりやすい環境を作りだしたといえます。伝染病を治療できるようになった国が、今度は慢性病に悩まされるようなものです。
 二つ目の要素は、金融市場の構造が変わり、レバレッジが拡大したことです。資本比率は低下し、バランスシートの外の部分がひろがりました。三つめには、特に今回の危機に見られましたが、世界的な貯蓄の増大が、実質金利の低下をもたらし、それが資産価格の上昇を助ける環境を作り出した点です。

'10.4.6.朝日新聞・米国家経済会議(NEC)議長・ローレンス・サマーズ      聞く人・朝日新聞主幹・船橋洋一氏

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