散歩道<3479>

                      経済気象台(548)・シンガポールに学ぶ

 淡路島ほどの赤道直下の島に400万人前後が住むシンガポール困苦煮の特徴は、事実上の一党独裁体制のもと、先進国並みの1人当り国内総生産(GDP)を持ち、「箱庭国家」とも呼ばれるほど人口密度が高いこと。近年、この特徴を生かし、先進的な社会インフラを実験的に導入し、積み重ねたノウハウと改良を位加えたシステムを輸出するビジネスモデルで存在感を増している。
 代表例が空港の運営ビジネス。東南アジアのハブ空港として評価の高いチャンギ空港の運営で培ったノウハウを武器に中国やロシア、中東などの空港の運営、管理業務を次々に受注。都市型鉄道でも、1987年に運行を開始したMRTのノウハウを基に、ドバイのモノレールの運行・オペレーション業務の受託に成功している。
 また水資源が乏しいことから、水資源の有効活用に早くから取り組んでおり、このノウハウを基に中国や中東、アフリカなどの水処理プロジェクトに参画。アルジェリアで世界最大級の海水淡水化プラントの設計から運営まで受託するなど、世界の水処理ビジネスにおけるメジャープレーヤーの一つになりつつある。政府は水関連ビジネス戦略として「グローバル・ハイドロ・ハブ構想」を策定。2015年、までに世界市場の3%のシェア獲得を目指している。
 こうしたビジネスモデルは、かって資源のない日本が勤勉な国民と海に囲まれた地理的特性を生かして、加工貿易で一世を風靡
(ふうび)した事例に似ている。そのビジネスモデルが中国勢の台頭によってかっての輝きを失った今、シンガポールのモデルを参考に、次の日本モデルの構築を探ることも必要ではないだろうか。

'10.2.20.朝日新聞