散歩道<3471>

                          耕論・こうする!日本再生・破綻させる・(3)                 (1)〜(3) 続く
                              
ショックを与え既得権壊す
                      

 戦後の終身雇用や年功序列賃金といった慣行は、いわば企業が国に代わって社会保障の役割を担ってきたようなものだ。国は規制や補助金で企業を守ってきた。このおかげで、会社員は安定かつ将来を見通した収入を手にすることができた。日本経済の活力と競争力の源泉として、国際的に高く評価された時期もあった。
 だが今は違う。激しい国際競争の中では高いコストの原因であり、経営の足かせだ。富をめぐつて諸国民が競い合う資本主義的な競争の枠組みは、リーマン・ショック後も全く変わらない。企業に社会保障的な役割を負わせるのはもう限界だ。五輪で世界がなりふり構わぬメダル争そうをしているときに、日本だけが「清く正しいアマチュア精神で闘います」と言っているようなもの。経済的敗北は食べられなくなることを意味する。
 日本企業の閉塞感の最大の要因は、新興国との競争に負け続けていることだ。互角に戦えるように、少なくとも政治と行政が企業を邪魔しないことを求めたい。
 法人税を下げ、労働市場規制を緩和する。こんなことは北欧諸国でさえ徹底的に進めている。日本では自民党政権の末期の頃から、なぜか新たに事業を興すこと、産業を興すこと、雇用を作ることが出来ないように、政府が一生懸命やってきたように見える。経済が活性化するわけがない。
 日本人は柔軟な現実主義者の集まりだ。時代の空気さえ換えれば、攘夷から開国へ、軍国主義からデモクラシー万歳へ、まるで手のひらを返したように換わってしまう。これまでの「鎖国・融和」的な経済社会から「開国・競争」的な経済社会への変化も、空気が変われば一気に進むに違いない。

 
破綻後の国づくりについては、私は楽観している。

'10.4.1.朝日新聞経営共創基盤CEO・富山 和彦さん

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