散歩道<3467>
ザ・コラム・積み上がる国債・(3) (1)〜(4)続く
財政安定には3世代かかる
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では、安心して構えていればいいのか。実は、経済がプラス成長を続けたとしても国債市場に大きな問題が残る。現在の政府債務があまりに大きいため、かりに今すぐ増税をしたとしても、政府の債務残高はすぐに減ることはなく、利子が利子を呼ぶ形で債務は雪だるま式に膨らんでいく。財政が安定するまでには、2世代から3世代の時間がかかるのである。
歳入から通常の歳出を差し引いたものを「基礎的財政収支」という。土居丈朗・慶応大学教授が数年前に経済産業研究所で実施した推計によると、基礎的財政収支がかなり大きな黒字になる状態が40年以上続くほどの財政引き締めを行ったとしても、政府債務が安定するには100年程度かかる。
これは基礎的財政収支が政府債務の元利払いを含んでいないために起る。例え基礎的財政収支を黒字にしても、国債の金利が膨大なため、利払いを含めると黒字にできず、国債残高が数十年間累増してしまうのだ。収入に応じたつつましい暮らしをしても、今までの借金の利払いで、家計は赤字という状態が続く。
この場合、政府の債務残高から政府の資産を差し引いた政府純債務は今世紀前半を通じて増え続け、2060年ごろに一時的に日本の国内総生産(GDP)の3倍を超えて、その後、減少に転じる。2100年ごろにようやく政府純債務はGDPの水準まで戻る。
'10.3.31.朝日新聞・経済産業研究所上席研究員・小林 慶一郎氏
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