散歩道<3466>
ザ・コラム・積み上がる国債・(2) (1)〜(4)続く
財政安定には3世代かかる
○ ○
しかし、円安は何時までも続かない。少し円安が進めば、日本の輸出品は海外の通貨建てでは安くなるので日本の輸出は増え、貿易黒字が増える。貿易黒字の増加は円高要因だから、円安は止まり、円高傾向が再び生まれる。円高傾向が回復すれば、外貨建て資産よりも円建て資産の方が有利なので、投資家は再び日本国債を買う。すると国債価格も上昇する、このメカニズムが繰り返されるので、今後数年は日本の国債市場は大丈夫ということになる。
しかし将来、日本の輸出産業が非常に弱体化し、貿易赤字が定着する状況になれば話は別である。貿易赤字が続く、という予想を国内外の投資家が持てば、貿易赤字は円安を生みだすので、「長期的に円安が続く」と市場は期待するようになる。円安が続くなら外貨建て資産が円建て資産に比べて有利になるから、投資家は国債を売り続ける。国債暴落と大幅な円安が現実のものとなるだろう。
こうした破綻が起きる前提は、日本の輸出産業の基礎体力が構造的に弱くなることだ。例えば、マイナスの経済成長が何年も続くような状態になれば、国債暴落が起きる、ということだとイメージすればよい。
しかし、そこまで経済の基礎体力が悪化するとは考えにくい。低成長であってもプラスの経済成長が続くという前提に立てば、財政破綻と国債暴落が現実になるとはあまり考えられないというべきだろう。
'10.3.31.朝日新聞・経済産業研究所上席研究員・小林 慶一郎氏
![]()