散歩道<3437>
社説・中国人民元・(2) (1)〜(2)続く
徐々に切り上げへ動け
もちろん、自国の通貨が安いほうが輸出品の競争力を維持できるし、逆に輸入品は高くなるので中国企業や農家は助かる。社会の安定のために働き場所を守りたい気持ちは分かる。だが、「弱い元」がもたらす危うさも目につくようになっている。
「元売りj買い」の為替市場介入で、国内に人民元が必要以上に出回り、だぶついた資金が不動産に向かっている、2月には主要70都市で前年同月比10.7%も値上がりした。じわじわと物価も上がりつつある。過熱気味の経済を引き締めるために利上げをしても、その効果を打ち消してしまう。
一方、元を切り上げて強くすれば、その利点も少なくない。外国から資源や技術を含む輸入品を安く買える。効率の悪い企業が生き残りをかけて革新に動く圧力にもなる。
1985年のブラザ合意で日本は米国などに押されて円高をのみ、影響を打ち消そうとして内需拡大策がバブルを生んだ。その崩壊で長くデフレに苦しんできたことを考えると、中国がその轍(てつ)を踏みたくないと考えるのも当然ではある。
だが、元高を怖がっていては、後でかえって急激な調整が必要になってしまう。それを避けるには、少しずつでも動かし始めたほうが長い目で見て中国にとっても得策ではないか。日本の経験を教訓にしてほしい。
'10.3.22.朝日新聞
関連記事:散歩道<検>中国、